読書録

 『構造人類学』(レヴィ=ストロース)所収 「象徴的効果」

「[シャーマニズムの]治療は、したがって、はじめは感情的な言葉で与えられる状況を思考可能なものにし、肉体が耐えることを拒む苦痛を、精神にとっては受け入れうるものとすることにある。シャーマンの神話が客観的現実に照応しないということは、たいした…

 『構造人類学』(レヴィ=ストロース)所収 「呪術師とその呪術」

シャーマンを構成する3つの要素 シャーマン自身の経験、患者の経験、公衆の経験 シャーマニズムのふたつの極 シャーマンの内的経験←→集団合意 シャーマニズムは、実は、異質で得体の知れないものを集団の物語の中に統合するパフォーマティヴな作業であるこ…

 『想像の共同体』(ベネディクト・アンダーソン)再読

語るのが馬鹿らしいほど人文/社会科学にとって著名かつ不可欠なこの本だが、白石さやゼミのために再読。 出版の普及、とりわけ新聞が(出版業界の企みにより)流布したことによって、ナショナルな感覚(想像の共同体)が生じた 新聞は1.非対称性、2.多…

 ロラン・バルト『テクストの快楽』

特に邦訳版pp.19-33の「快楽(pleasure)/悦楽(bliss)」の区別を中心に。 「身体で最もエロティックな場所とは、衣服が口を開くところではないだろうか」 (テクストの)「快楽」とは 馴染みのある文脈=コンテクストにおいて、軽やかに舞うこと 自分が普…

 A.ジェスキンス著『レヴィ=ストロース再考』第二部「構造人類学、未開の社会組織と歴史」

 フーコー『監獄の誕生』発想メモ

付記。生-権力とdiscipline型権力をあいまいに考えてたことを猛烈に反省。とりあえずここではぼかして「権力」ということで*1。そして、internalization≒自動化が大事なポイントだとするならば、暗黙知の話とつなげても可能性があるのではないかと思った。 …

ラカンの精神分析 新宮 一成おすすめ平均私は現役大学生(2校目)・・・でもやや難・・・「ソシュールの思想」読まないと。面白いラカンの本Amazonで詳しく見る読みやすく、合間合間に息抜きに読むにはちょうど良い、それにしては考えさせられる良書かな。…

「説明の様式について」(in東京大学東洋文化研究所紀要第百六十冊)

凄いなコレ。今後何度も立ち返ることになるかも。とりあえずブルデューの実践感覚とディスタンクシオンを読まなきゃ。早いとこ。 「ギアツの解釈学は、文脈依存的な発話(discourse)がテキストとして定着化されることによりもたらされるある種の客観化と同…

20世紀初頭のロシアは本当に開かれていた。凄すぎる。

レヴィ=ストロースと山口昌男の対談 フランスにベートーヴェンやメンデルスゾーンを紹介したのはL=ストロースの祖父だった!(コンセルヴァトワール管弦楽協会の創始者) 映画について。ストロースはヒッチコックが大好き。ゴダールは嫌い。マルクス兄弟(…

 「<わたし>の機能を形成するものとしての鏡像段階」

1949年 邦訳&英訳(Le stade du miroir comme formateur de la Fonction du Je) 『エクリ』所収 ラカン

「シャルル・ボードレールの『猫たち』」ローマン・ヤコブソン、L.ストロース 「ロシア民話について」ローマン・ヤコブソン 「音韻論」ヤコブソン 「プラーグ構造言語学」B.トルトンほか 「言語の二つの面と、失語症の二つのタイプ」ヤコブソン 『はじめての…

デリダの『グラマトロジーについて』におけるレヴィ=ストロース批判の恣意性

デリダは、レヴィ=ストロースの記述を、無垢で善良な小規模の共同体、そのあらゆる成員が直接に透明な音声言語で語りかけあっている平和で非暴力的なミクロ社会に、策略と背信によって外部から(すなわち西洋から)、文字が搾取の道具として暴力的にもたら…

SUHARTO, WITCHES (James T. Siegel, Indonesia71,April 2001)

要約=レジュメhttp://genxx.com/wiki/pukiwiki.php?plugin=attach&pcmd=open&file=%CA%B8%B2%BD%BF%CD%CE%E0%B3%D8%C7%F2%C0%D0%A5%BC%A5%DF.doc&refer=Genxx.wiki%2A つまり人が言葉を失ったとき、暴力が導入されざるを得ないということか。「実証」はでき…

「言語の性質」ソシュール著、伊藤晃訳

言語記号は物と名を結合させるのではなくて、概念と音響心像を結合させる。この音響心像は、純粋に物理的な物としての単なる音ではなくて、音の心的な印象、音が我々の感覚に与える印象である。(中略)言語の中の語をわれわれは音響心像と見なすのだから、…

AM I PKI OR NON-PKI? ,Pipit Rochijat, translated by Ben Anderson.

一般言語学 ロマーン ヤーコブソン, Roman Jakobson, 田村 すゞ子, 長嶋 善郎, 村崎 恭子, 中野 直子, 川本 茂雄なぜか倫理学研究室からお借りしました。ソファで煙草ふかしてた坊主みたいなおっさんが怖かったなあ。倫理。

機能主義人類学の頂点

高地ビルマの政治体系E・R・リーチ , 関本 照夫いや凄いわこれは。ゼミ終わってからメモするか。

あら、そんなところで俯いて

大学1年の時に生協で一目惚れして買ったこの本。行方不明になっていたのを掃除していたらたまたま逢瀬。いよいよ、触れてみる。実に良質。寝る前のちょっとした時間に、皮膚の境界がゆっくりと溶け出すようなあったかい音を聴きながら、少しずつ読んでいき…

 Pramoedya Ananta Toer著(ベネディクト・アンダーソン英訳) REVENGE 

『想像の共同体』でお馴染みのBen. Andersonが訳した小説。原文はインドネシア語。1945に日本軍が降伏後、インドネシアは独立を得るためにオランダ軍などと戦った。その際に国内におけるナショナリズムが狂気的な仕方で発動されたことも多々あった。その一部…

表象は感染する―文化への自然主義的アプローチダン スペルベル, Dan Sperber, 菅野 盾樹タイトル訳が巧みだなあ。「Expanding Culture: a naturalistic approach」を「表象は感染する」か。これで表象文化のお客さんもゲッツってか。まさかな。そもそもダン…

ヌアー族―ナイル系一民族の生業形態と政治制度の調査記録E.E.エヴァンズ=プリチャード , 向井 元子文化人類学の古典的名著。粘り強い洞察に満ちていてとても面白い。アフリカのヌアー族に対するエスノグラフィー。1940年刊行。 技術水準の低さ→社会的連帯の…

社会分業論〈上〉井伊 玄太郎 , E. デュルケム社会分業論〈下〉井伊 玄太郎 , E. デュルケム

アヴェロンの野生児―新訳 ヴィクトールの発達と教育J.M.G.イタール, 中野 善達, 松田 清 南フランスで捉えられた「アヴェロンの野生児」は1800年パリに連れてこられた。人間とまったく触れ合わず野生の森で育った少年。人間との触れ合いがないまま育つと、何…