「真正さの水準」

参考:『レヴィ=ストロース入門』(小田亮)、『構造人類学』(ストロース)所収の「社会科学における人類学の位置および人類学の教育が喚起する諸問題」

  • 真正な社会の様式
    • 身体的な相互性を含む<顔>のみえる関係における多元的なコミュニケーション
    • 全体を見通す視座など持たずに、人と人との具体的なつながりを延ばしていって、境界のぼんやりとした社会の全体を想像するしかないという想像の仕方
    • <顔>の見える人と人との<あいだ>で作られる流動的な関係によってアイデンティティが作られる
  • 非真正な社会の様式
    • 法や貨幣やメディアに媒介された間接的で一元的なコミュニケーション
    • ネイションやエスニック・グループ
    • あたかも神の目から一望したように境界の明確な全体としての社会を想像する仕方
    • 人と人の<あいだ>を抜きにして、国民国家や民族集団といった固定された全体に媒介された間接的な関係。全体と個人が結びつけられることによってアイデンティティが生じる


現代社会においても<顔>のみえる関係に参与する人類学者のフィールドワークが有効に働く、とストロースは述べた。果たしてどうだろうか。このことについてはネットワーク論に触れた後に考えてみたい。ストロースのこの二分法の有効性/陥穽も含めて。当たり前だが、『想像の共同体』と絡めておく必要があるだろう。