5月15日(土)〜17日(月)
■『乞食/アッカトーネ』Accattone
1961年/白黒/スタンダード/35mm/117分
製作会社:アルコ・フィルム(ローマ)、チーノ・デル・ドゥーカ(ローマ)/製作:アルフレード・ビーニ/台詞協力:セルジョ・チッティ/撮影監督:トニーノ・デッリ・コッリ/美術設定:フラヴィオ・モゲリーニ/音楽監修:カルロ・ルスティケッリ/編集:ニーノ・バラッリ/出演:フランコ・チッティ、フランカ・パスット、シルヴァーナ・コルシーニ、パオラ・グイーディ
パゾリーニの記念すべきデビュー作。同性愛行為での告発、教職停止、共産党除名の失意の中で、カザルサからローマに母とともに移住したパゾリーニは、セルジョ・チッティを通じて、下層階級の人々に触れることになる。プロレタリアートにさえなりきれない彼らのいらだちに溢れた生活を描いた「希望のない悲劇」。

5月18日(火)、19日(水)
■『マンマ・ローマ』Mamma Roma
1962年/白黒/ヴィスタヴィジョンサイズ/35mm/106分
製作会社:アルコ・フィルム(ローマ)/製作:アルフレード・ビーニ/脚本・監督:ピエル・パオロ・パゾリーニ/台詞協力:セルジョ・チッティ/撮影監督:トニーノ・デッリ・コッリ/美術:フラヴィオ・モゲリーニ/音楽監修:カルロ・ルスティケッリ/編集:ニーノ・バラッリ/出演:アンナ・マニャーニ、エットレ・ガローフォロ、フランコ・チッティ、シルヴァーナ・コルシーニ
美しく成長した息子を引き取り、彼の幸福のためには、どんな自己犠牲も厭わない元売春婦の物語。市場に働く彼女の抱いた「ブルジョア的生活」への欲望は、彼女の前夫と息子の取り巻きによって、やがて不幸な結末へと裏切られていく。『アッカトーネ』と同様、ネオレアリズモを継承し乗り越えんとするパゾリーニの意欲作。

5月20日(木)、21日(金)
■『ロゴパグ』RoGoPaG
1963年/白黒+カラー/ヴィスタヴィジョンサイズ/35mm/122分
製作会社:アルコ・フィルム(ローマ)、チネリッツ(ローマ)、リラ・フィルム(パリ)/製作:アルフレード・ビーニ/監督:「純潔」ロベルト・ロッセリーニ、「新世界」ジャン=リュック・ゴダール、「意志薄弱な男」(リコッタ)ピエル・パオロ・パゾリーニ、「放し飼いの鶏」ウーゴ・グレゴレッティ
4人の監督によるオムニバスで、題名のRoGoPaGは、参加した監督、ロッセリーニ(Ro)、ゴダール(Go)、パゾリーニ(Pa)、グレゴレッティ(G)のそれぞれの頭文字をとってつけられたものである。パゾリーニの「放し飼いの鶏」は、オーソン・ウェルズ演じる監督が、キリスト受難劇を撮影する物語だが、公開直後にそのパートが「冒涜的」との理由で押収され、部分的カットを経て公開された。

5月22日(土)、23日(日)
■『愛の集会』Comizi d’amore
1963‐64年/白黒/ヴィスタヴィジョンサイズ/35mm/92分
製作会社:アルコ・フィルム(ローマ)/製作:アルフレード・ビーニ/脚本・監督:ピエル・パオロ・パゾリーニ/インタヴュアー・語り:ピエル・パオロ・パゾリーニ/撮影監督:マリオ・ベルナルド、ドニーノ・デッリ・コッリ/編集:ニーノ・バラッリ/発言者:アルベルト・モラヴィアチェーザレ・ムザッティ、ボローニャ・サッカー・チーム
イタリア全土で多種多様な階層の人々にインタヴューを行い、性や恋愛、結婚観などに関する意識を浮かび上がらせようとした意欲的作品。アルベルト・モラヴィアやジャーナリストのオリアナ・ファッラーチも登場する。

5月24日(月)〜26日(水)
■『大きな鳥と小さな鳥』Uccellaccie uccellini
1965‐66年/白黒/ヴィスタヴィジョンサイズ/35mm/86分
製作会社:アルコ・フィルム(ローマ)/製作:アルフレード・ビーニ/脚本・監督:ピエル・パオロ・パゾリーニ/撮影監督:トニーノ:デッリ・コッリ、マリオ・ベルナルド/美術設定:ルイジ・スカッチャノーチェ/音楽:エンニオ・モリコーネ/編集:ニーノ・バラッリ/出演:トト、ニネット・ダヴォリ、フェミ・ベヌッシ、ロッサナ・ディ・ロッコ
死とは何か、生とは何か。議論をしながら放浪する「無知」な親子に「左翼インテリ」のカラスが同行。カラスが「知的」発言を繰返す中、親子は様々な事件に遭遇し、体験を積み重ねていく。「生と死」の問題を寓話的な物語形式の中に描き、その後の『テオレマ』『豚小屋』などに連なる一系譜を作った重要作。

5月27日(木)〜29日(土)
■『アポロンの地獄』Edipore
1967年/カラー/ヴィスタヴィジョンサイズ/35mm/104分
製作会社:アルコ・フィルム(ローマ)、ソマフィス(カサブランカ)/製作:アルフレード・ビーニ/脚本・監督:ピエル・パオロ・パゾリーニ/原作:ソフォクレスオイディプス王」/撮影:ジュゼッペ・ルッツォリーニ/美術:ルイジ・スカッチャノーチェ/音楽監修:ピエル・パオロ・パゾリーニ/編集:ニーノ・バラッリ/出演:シルヴァーナ・マンガノフランコ・チッティ、アリダ・ヴァッリ、カルメロ・ベーネ、ニネット・ダヴォリ
詩人ソフォクレスの戯曲を元に描く「オイディプス」の姿。古典を常に現在の価値観と視点から捉えようとする、パゾリーニ流の解釈に基づいたギリシャ悲劇の世界が展開される。

5月30日(日)〜6月2日(火)
■『豚小屋』Porcile
1968‐69年/カラー/ヴィスタヴィジョンサイズ/35mm/98分
製作会社:BBGチネマトグラフィカ、IDIチネマトグラフィカ、イ・フィルム・デロルソ(ローマ)、C.A.P.A.Cフィルメディ(パリ)/製作:ジャンニ・バルチェッローニ・コルテ、ジャン・ヴィットーリオ・バルディ/脚本・監督:ピエル・パオロ・パゾリーニ/撮影:アルマンド・ナンヌッツィ、トニーノ・デッリ・コッリ、ジュゼッペ・ルッツォリーニ/音楽:ベネデット・ギッリア/編集:ニーノ・バラッリ/出演:ピエール・クレマンティフランコ・チッティ、ジャン・ピエール・レオー、アルベルト・リオネッロ、アンヌ・ヴィアゼムスキー、ニネット・ダヴォリ・スタンプ、マッシモ・ジロッティ、ラウラ・ベッティ
異なった二つの物語を交互に構成した作品。1つは、砂漠を放浪する男が、出くわした兵士を殺して、その肉を食らい、カニバリズムに取り憑かれる話。もう1つは、西ドイツのブルジョワが、ライヴァルのナチ戦犯という過去を知るが、そのライヴァルには彼の息子が豚と獣姦しているというスキャンダルを掴まれるという話。

6月3日(水)〜5日(金)
■『王女メディア』Medea
1969‐70年/カラー/ヴィスタヴィジョンサイズ/35mm/110分
製作会社:サン・マルコS.p.A.(ローマ)、フィルム・ナンバー・ワン(パリ)、ヤヌス・フィルム(フランクフルト)/製作:フランコロッセリーニ、マリーナ・チコーニャ/脚本・監督:ピエル・パオロ・パゾリーニ/原作:エウリピデス「メディア」/撮影:エンニオ・グァルニエリ/美術:ダンテ・フェルレッティ/音楽構成:ピエル・パオロ・パゾリーニ、エルサ・モランテ/編集:ニーノ・バラッリ/出演:マリア・カラス、ローラン・テルジェフ、マッシモ・ジロッティ、ジュゼッペ・ジェンティーレ、マルガレート・クレマンティ
古代に舞台設定しながら、それを現代の寓話として描くパゾリーニの真骨頂。エウリピデスギリシャ悲劇とはほとんど関係がないとパゾリーニ自身が語っている。オペラ歌手マリア・カラスを主演に抜擢、台詞を極力排して作られた「宗教(信仰)の生誕の物語」。

レイトショー21時〜。さあ最低な監督パゾリーニ、どれを観に行こうかと。
パゾリーニ映画鑑賞の試み http://www005.upp.so-net.ne.jp/guillo/pppstudy/ppp/esalo01.htm