「キッチュ」の語源

 昨日の続き。またもや基本的に『現代アートの哲学』に拠る。
 キッチュの語源、ドイツ語、1860年頃、ミュンヘンにて。この時代は貴族・ブルジョワ社会から、産業・大衆社会への幕開けの時代。
 一説によると、スケッチ(sketch)がキッチュの語源だという。ミュンヘンを訪れたイギリス人らが正統な芸術品を買い求めず、スーブニール(おみやげ)として安価なスケッチを買い求めたことを揶揄する言葉だったらしい。すなわち、オーソドックスな芸術の代用品を意味。

 キッチュがもたらす心地よい美的心情の在り方→センチメンタリティー(感傷)

 センチメンタリティー、18世紀においてはネガティブな意味を帯びていなかった。だがドイツ・ロマン派などによって、あるいはカントの理性主義にきわまる道徳哲学によって、排除されるべき低俗な価値となってゆく。