http://www.shugiintv.go.jp/ref.cfm?deli_id=23620&media_type=rb いやー面白い。どうしても船曳と小熊英二に注目してしまうが。
船曳建夫「戦略的9条維持論」
- 憲法九条ははじめから米軍事力とセットになって意味をなすものとして作られた(護憲派の認識的誤謬)
- もはや先進国同士で戦争はそれほど生じ得ない
- 侵略主義=経済的利得を考えてのこと、現代ではもはや生じ得ない
- 「植民地維持」はコストかかりすぎる
- アメリカも戦争をできなくなっている
- アメリカ人にとって「命の値段」が高くなっている(年収etc、人生のopportunityの総計)
- 貧しい命を100人殺しても、アメリカ人1人死ねば割が合わなくなる
- グローバル化
- メディアと記録の発達→戦争の記憶が健忘されにくくなった
- 兵器の質upしても兵士の質がdownしている(戦争やりたがる人激減)
- 平和憲法は外交上使えるカードになる、世界が日本に近づいてきている
- 現在「戦争放棄」は国益に反していない、むしろおいしい
いやむしろ、非先進国→先進国、そして何といっても中国/北朝鮮問題を考慮しなきゃ。そこを聞きたかったが、面白かった。戦略論というよりも戦略イメージ論的というか。あとはたとえばイラク、莫大な石油利権を考慮した場合は「米国人一人の命の値段<イラクの死者100人+石油利権」(=割があう)となるわけで、横暴な閣僚レベルでの侵略主義は続くかと。たとえこれすら幻想でも。
小熊英二
憲法9条は「押しつけ」であったのか?
- 当時の保守勢力の歓迎ぶり
- 非武装化と天皇制維持のバーター関係(ホイットニー)
- これが保守陣営が政治権力にとどまる最後の手段であった(生き残り策)
- マスメディア、議会の与党保守勢力、財界も歓迎一色だった
- それを受け入れることにより天皇制と資本主義の残存が保証されていたから(将来への見通しがついた)
- →「押しつけ」という面ばかりは強調できない
- 194805 アメリカ陸軍相「憲法改正を日本に要請すべし(再軍備化)」と発言
- 1950 日本人部隊を朝鮮に送り込めという米議会での要請(圧力)が活発に
- 日本の反応
- 歓迎:再就職先ができるetc.(保守勢力の一部+軍部)
- 反対:このままではアメリカの傭兵になってしまう(革新勢力+保守勢力の一部)
- 吉田茂
- かつての投獄経験→旧日本軍復活に警戒感
- 軽武装路線(1946年のアメリカの方針=9条推進を利用して米の圧力に対抗する)
- 「憲法をうまく盾にしてアメリカに防衛やらせられる、旨味を捨てるとは馬鹿か」
9条改正で「自主憲法」になるか?
- 三島由紀夫「改正するとアメリカの思うつぼである。アメリカの要請にしたがって軍部作るだけになる。韓国と同じになってしまう」
- 改正すると、アメリカの対日軍事要請がエスカレートする。(ベトナム戦争時の韓国軍みたくなってしまう)
- アジア周辺諸国だけでなく、アメリカの世論を刺激してしまう可能性がある(1999年アメリカで「なぜ日米安保は存在するのか」という世論調査を行ったところ、49%は「日本の軍事大国化を防止するため」、12%「日本を守るため」)
- 軍事大国化するつもりだと米世論と米議会を刺激してしまう(閣僚は歓迎する可能性が高い)
とにかく、意識であれ潜在意識的であれ、「とりあえずは沈黙が得策」ってみな感じてるんだろうな。