psychology

 リスク心理学の役割

1.一般市民がリスクを認知する際の特性を明らかにし、系統的なゆがみについてはそれを自覚できるようアドバイスする 2.環境問題や健康問題を構成する多元的な価値や評価基準を引き出し、環境リスク政策に対しても通常のリスクアセスメントでは見過ごされか…

 問題の構図

環境リスクに共通するキーワードは「人為性」。 1.自分たちや将来世代の健康が飲食物や大気に含まれる有害物質のためにじわじわと損なわれるのではないかという不安 2.原子力発電施設や化学プラントなどで大規模災害が発生し、一瞬にして取り返しのつかな…

 定義

◆リスク心理学は、「リスク認知研究」と「リスクコミュニケーション研究」に二分できる。 ◆専門家によるリスクの定義 「死や疾病、財産の損失などの望ましくない事態のひどさの程度(severity of harm)とその発生確率の積」。 つまり、リスク=ひどさの程度…

 Paul Slovic, 1987, Perception of Risk, Science vol.27, pp.280-285. 要旨抽出

リスク心理学のマイルストーン、記念碑的論文。 ◆リスク心理学の目的 1.災害に対する大衆の反応を理解し予測可能にする 2.素人と専門家と政治家の間でリスク情報共有を促進し、リスク分析、政治的判断を助ける ◆心理学的実験パラダイムの構築 1.方法→さま…

 若林明雄(1993) パーソナリティ研究における”人間―状況論争”の動向 心理学研究、64、296-312 要旨抽出

パーソナリティ研究における“人間ー状況論争(person-situation controversy1)”は、1970年代から80年代にかけて、アメリカを中心に展開された。この論争は、行動の決定因として内的要因と外的要因のいずれを重視するかという、パーソナリティ研究だけにとど…

 渡邊芳之・佐藤達哉 1993 パーソナリティの一貫性をめぐる”視点”と”時間”の問題  心理学評論、36、226-243 要旨抽出

パーソナリティは、心理学的には「人の行動を時を超えて一貫させ、比較可能な事態で他の人と異なる行動をとらせる多かれ少なかれ安定した内的要因(Allport,1961)」と定義されてきたが、こうした定義には、1.パーソナリティは行動の原因である、2.パーソ…

 ダーウィン以後

ダーウィン死後は凋落の一途をたどった進化論。自然選択理論が支持されていたというよりも、 現象としての進化とその唯物論的・進歩的な解釈という「周辺部分」のみが、ドーナツのように残されることになった。かくして、19世紀末から20世紀にかけて、社会進…

 ダーウィン

1858年、リンネ学会で、同時期に同様の理論に思い至ったウォレスと共に発表。1859年、『種の起源』を出版。ちなみにダーウィン理論の大枠は1838年には決まっていたらしいが。

 ダーウィン以前

どうも○○学ってのがごっちゃになってしまうので、佐倉統さん流のまとめかたを叩き台にしてみるテスツ。 進化論の歴史的な変遷は、他のすべての科学と同様、キリスト教と密接な関係にあった。 18世紀の時代思想がまずあった。18世紀の西洋生物学とは、自然=…

 自然淘汰と性淘汰

進化の「適応」を説明するふたつの側面、生存と繁殖。 生存→自然淘汰 繁殖→性淘汰 これまで性淘汰の観点からの説明がなおざりにされてきた。しかし「心」は、性淘汰から説明した方がうまくいく。

 心脳問題について

さて、最近話題となっている心脳問題について。脳の言語(脳科学的記述)によって、人間の「心」を記述しようとする試みは、上記の意味の「モデル」としては非常に面白いと思います。その可能性の追求によって「心」についてどのような新たな意味の地平が見…

 関係としての存在、モデルは対象そのものではない

先日のエントリー(http://d.hatena.ne.jp/Gen/20040804#p3)で 問いの立て方によって、対象にアプローチする方法によって、現実はいかようにでも捉えることができる。大切なのは「どのようなとらえ方をすると、どんな意味が見えてくるか、何がわかってくる…

 ナラティヴ・セラピーとフィールドワーク

臨床心理筋や社会学の物語論筋の方には有名なナラティヴ・セラピー。定番の一冊『ナラティヴ・セラピーの世界』を以前読んだことがあったんですが、今集中講義で行われている「フィールドワーク再考」という授業で、ナラティヴ・セラピーとフィールドワーク…

 アフォーダンスについて

某友人へ。佐々木さんとか三嶋さんの本ばっか追っている暇があったら、エドワード・S・リードの『アフォーダンスの心理学』が激しくオススメ。心理学の再構築まで視野に入れて描かれていて、非常に興味深い。「生態」が、アフォーダンスと不可分なものとして…

 Dominance, aggression and testosterone in wild chimpanzees: a test of the ‘challenge hypothesis’ (Animal Behaviour,Volume 67, Issue 1 , January 2004, Pages 113-123 )

フェロモン系化学物質として知られる(?)、テストステロンに関するお話。趣旨は、「テストステロンは従来いわれてきたように生殖行為(セックス)に密接に絡むというよりは、広い生殖の文脈での攻撃性にこそ関連しているのではないか」というもの。 セック…

 究極の恋愛心理学サイト(臨床-社会心理学的アプローチ)

http://www5c.biglobe.ne.jp/~kaytee/kwsframeset.html もしかしたらお会いしたことがある方かも。それでも、たといどれほど巧みにモデル化されようとも、とにかく、恋愛の本質は「たった一度きり物語」にあるのであって、科学的言説は恋愛について多くを語…

あなたが触れて、はじめてわたしが存在する

またBlogを更新してみました(http://genxx.com/blog/)。ラカンの鏡像段階論を実験心理学の知見と照らし合わせるとどうなるのか?「鏡」を象徴的にではなくそのまま読み込んだ場合のおはなし。面白いことに、「スキンシップが私を<わたし>たらしめている…

アヴェロンの野生児―新訳 ヴィクトールの発達と教育J.M.G.イタール, 中野 善達, 松田 清 南フランスで捉えられた「アヴェロンの野生児」は1800年パリに連れてこられた。人間とまったく触れ合わず野生の森で育った少年。人間との触れ合いがないまま育つと、何…